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2005. 8. 3

照度計


外観

秋葉の鈴商で照度測定用フォトダイオード S1087(浜松ホトニクス)が売っていたので、これを使って照度計を作ってみました。

照度[lux]はある場所がどれだけ光の照射を受けているかを数値化する際に使われ、単位面積あたりに照射される光束[lm]を示します。光束とは放射束[W]に含まれる波長それぞれに比視感度をかけたものです。したがって、照度は光パワーの大きさではなく、人の目が感じる明るさにマッチした単位と言えます。しかし、普通のシリコン・フォトダイオードの分光感度特性は人間の比視感度曲線とは大きく異なり、そのままでは照度センサには使えません。S1087の受光窓にはこれを補正する光学フィルタが取り付けられて、分光感度特性を人間の目のそれに合わせています。

このほか、明るさの単位として光度[Cd]面輝度[fL]が使われていて、これらは光源の明るさを表すものです。

ハードウェア

フォトダイオードをショートモードで使うと、入力パワーに比例したリニアリティの良い出力電流が得られます。この照度計では、それをオペアンプでI-V変換したあとマイコンで取り込んでディスプレイに結果を表示します。回路図中のU1がI-V変換回路です。フィードバック抵抗が50kΩなので、変換率は50mV/µAとなります。抵抗に並列に入っているコンデンサは、フォトダイオードの端子間容量(約200pF)をキャンセルして安定動作を図ります。今回は高周波成分は不要なので、もっとずっと大きくていいと思います。

電源は一般的な9V電池を使用しました。コンパクト化のため電池スナップは使わないで、基板に取り付けたニッケルめっき燐青銅板で電池端子に接触します。逆接しやすい構造なので、Q1で保護します。このようにFETを使った逆接保護回路は、直列ダイオードのようなロスがありません。Q2は主電源スイッチで、Q3,Q4とともに自己保持回路を形成しています。

U4はHPのDIPパッケージの7セグメントLEDで、フォトダイオードと同じく鈴商で購入しました。とても小さくて使いやすいですが、所詮はLEDでバッテリ駆動に適しているとは言えません。

ソフトウェア

センサ出力をA-D変換してLEDに表示するだけです。AVRの内蔵A-Dコンバータは10bitと分解能が低く、工業計測用には不十分なものです。でも、A-Dコンバータの入力部にはアンプが内蔵されていて、ゲインを切り替えて測定することにより分解能を稼ぐことができます。要は自動レンジ切り替えです。まず、ゲイン20倍でA-D変換してオーバーフローしたら1倍で再変換します。これなら常に1倍で取り込むのに比べ、相対分解能の落ちる出力値の小さい部分で分解能を向上できます。上限はA-D入力で2.56V、つまり約30000luxまでです。

A-D変換値は校正係数をかけてlux値に変換してLEDに表示します。また、バッテリ電圧をモニタして6V以下になったらLED表示を点滅してその旨知らせるようにしました。

電源SWは自己保持になっているので、押しボタン1個でON/OFFできます。これは切り忘れ防止にも好都合です。本機では1分で自動OFFするようにしてあります。

校正のしかた

なにぶん、基準光源が手元にないので、フォトダイオードのデータシートの値をアテにするしかありません。S1087データシートによると、Isc = 0.16µA/100luxとなっています。1250luxで2µAですね。2µAをI-V変換すると100mV。ここで、テスト端子(TP1)に-100mVを加えたとき、センサが1250luxを検出しているのと同じことになります。

実際の校正動作は、1kΩ程度の抵抗をISPコネクタのピンに接続した状態で電源投入することにより行われます。ISPコネクタのSCK-GND接続で、TP1に-100mVを加えて電源ONするとLowレンジが校正されます。MOSI-GND接続で-1Vを加えて電源ONすると、Highレンジが校正されます。これらの操作の間はセンサをマスクして殺しておかないと意味がありません。センサをクリアケースに入るときは、ケースによる減衰を考慮して校正しなければなりません。たとえば、ケースを閉めて指示値が10%減ったのなら、校正電圧(-100mV, -1V)をその分減らした状態で最終的な校正をします。

基準となる照度計があるときは、1250luxと12500luxになる場所を探してそこに本器を置いて校正するのが手軽です。

資料

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