ELM Home Page

2008. 4. 20

回路内導通チェッカ


In-Circuit Checker

組み立てた回路基板の配線が正しいかどうか導通をチェックするための専用チェッカです。導通チェックといえば普通はテスタの抵抗レンジや簡易的にはブザーと電池で行いますが、これは部品が組み込まれた回路内のチェックには適していません。なぜなら、回路にまたがる半導体部品が導通してしまい、正しくチェックすることができないからです。また、テスタから被測定回路に加えられる電圧や測定電流により半導体部品が破損する可能性もあります。これを防いで純粋な導通(配線の有無)だけを測るのが回路内導通チェッカです。

必要な機能

回路内導通チェッカに求められる機能は次のようなものがあり、それぞれに示すような対応が必要になります。

正しく測れること
導通チェッカとして正しく動作するため、被測定回路に加える(プローブ端に現れる)電圧は半導体が導通しない程度に低くして誤認識を避ける。
部品に悪影響を与えないこと
測定電流を極力少なくして、回路部品に対するストレスを少なくする。
表示を認識しやすいこと
メーターやランプなど目で確認するものは、その都度視線の移動がともない作業性が低下するため、結果は音で表示する必要がある。
壊れにくいこと
簡単に壊れてしまうようでは道具としてマズイので、誤って活きた回路(5〜24V系)を測っても壊れない程度の耐久性は要求される。

ハードウェア

PCB
回路図

以上のような要求を元に回路内導通チェッカを設計・製作してみました。導通チェッカはこれで3回目ですが、今回はマイコンを使用して回路を単純化しています。右に製作したチェッカの基板と回路図を示します。回路から読み取れるように、測定電圧は500mV、出力インピーダンスは5kΩ、短絡電流は100μAとなります。そしてプローブ電圧をマイコンのA-Dコンバータで取り込んで被測定回路の抵抗を算出し、短絡と判定したらブザーを鳴らします。

電源スイッチは省略して、マイコンのスリープ機能で電源管理しています。消費電流は、ON状態で約400μA、OFF状態で1μA程度でした。電池にCR2032を使用した場合、500時間程度の動作時間となり、趣味の電子工作程度の使用頻度なら電池寿命を気にする必要はないと思います。コイン電池の保持にはバネ性のあるワイヤ(0.3mm金メッキリン青銅線)を使うとコンパクトにまとめられます。

テスタ棒はそのままでは使いにくいので、改造してピン治具用プローブを取り付けています。これにより0.5mmピッチ・パッケージのピンも当たれます。ケースにはタカチのSW-53を使用しました。これはSWシリーズに最近追加されたもので、36×53×11という今回のような単純なガジェットには手頃なサイズです。

ソフトウェア

F/Wの処理は、被測定回路に現れる電圧ををA-D変換して、それに従ってブザーを鳴らすだけです。単に鳴らすだけでは面白くないので、抵抗値によってトーンを変える(約5Ω以上では徐々にトーンを下げ、50Ω以上で停止)ようにしています。これにより、鳴り具合で接触不良も検出できます。

電源ON時には電池電圧を測って、2.4V以下のときはLEDの点滅と低いトーンで電池交換を知らせるようにしています。2.0V以下では起動させません。電池電圧はプローブ電圧で判定してるので、プローブが接触していると電源を入れることができないので注意が必要です。電源ONの間5分間継続して検出がない場合は、使用していないと判断して自動で電源OFFします。

資料

Sign