1997. 9. 15
パソコンシステム向けのオーディオアンプです。わたしは家にいるときはいつもパソコンの前で過ごしています。机の上にパソコンが乗っているため仕方の無いことですが、TVを見るのもラジオを聞くのも読書するのも同じ場所です。居る場所がいつも同じなので、オーディオ系も一つにまとめてしまおうと思って自作したのがこのアンプです。
設計方針としては、毎日使う物なので使いやすさを最優先することにしました。入力の選択は必要な物を選んで、それらはミックスして出力されます。これにより煩雑な入力の切り替えの手間を減らせます。また、ラックにすっきり収めるために外形を薄型にします。このため、電源にトランスが使えずスイッチング電源を使用しました。スピーカー出力のほかには、自作のサラウンドプロセッサーなどオプション機器の為にライン出力や電源出力も設けておきます。
入力 | ライン入力×5(後4、前1) |
出力 | スピーカ:5W+5W (@8Ω) ライン:1 電源:+12V |
操作系 | 5入力を個別にON/OFF可能で、選択した入力は全て混合して出力。 |
電源 | AC100V |
外形寸法 | 260(W)×50(H)×200(D) |
制作費用 | \10,000程度(部品代) |
オーディオシステムに組み込んで恒常的に使うのが目的ですので、見栄えにも気を使わなければなりませんね。組み込むケースは高級感のあるもの(タカチ製)を使用しました。フロントパネルの加工には細心の注意を払い、せっかくのパネルに傷を付けないように注意しましょう。操作スイッチはアルミブロックをフライスで削り出して自作しましたが、適当なアルミ棒を切断して仕上げると手軽だと思います。
ケース内の高さが 42mm程度しかないので、電源にはスイッチング電源(12V,2A)を使用しています。ノイズの問題が心配でしたが、全く問題はありませんでした。スイッチング電源の使用はオーディオ機器メーカーもやっていることなので、意識して対策すればスイッチング電源のノイズの影響は十分に抑えられるようです。
入力切り替えにはタクトスイッチを使用しています(資料参照)。これでF/F(74HC74)をトグルして切り替えるわけですが、電源 OFFでもその状態を記憶しておくために F/Fを大容量キャパシタで保持しています。
出力アンプには東芝のTA8205AHを使用しています。この石はカーステレオ用のBTL出力パワーアンプ(モノリシックIC)です。低電圧・単電源でかなり出力が取れるのでなかなか使いやすいですね。ただ、とてもに発振しやすいので入力ピンの引き回しには十分注意した方がいいです。
1994年に製作してからずっと使い続けていますが、故障も無く快調に動作しています。TVやラジオ、CDの音声はもちろんのことですが、パソコン出力もまとめたことにより、パソコンの音声が迫力のあるものになったのは大きいですね。これはアンプよりむしろ使用するスピーカーの違いによるものが大きいでしょうけど。
アンプを自作らないまでも、パソコン用の変なプラスチック製のスピーカーを、ちゃんとしたもの(坊主など(^_^;)に買い替えるだけでも驚くほどの違いがあります。パソコンでもっと高音質をとお思いの方は、まずスピーカーを買い替えてみることをおススメします。パソコンの近くにオーディオセットがあるのなら、それに接続するのも一つの方法ですね。
ただ、あまり高音質のスピーカーで聞くと今度はサウンドアダプタのノイズが気になってきます。普通に使われているサウンドアダプタの音質はとてもオーディオ用としての使用に耐える物ではありません。高音質を求めるならサウンドアダプタもそれに合わせて買い替える必要があります。当時主流だった8ビットサンプリングはほぼ姿を消し、最近普及してきた16ビットサンプリングのサウンドアダプタは、多くがデスクトップ用途として十分な音質を持っています。