白色LEDを6個使った実用的なヘッドランプです。巷に多くある白色LED使用の懐中電灯は、単純に直列抵抗で電流制御しているだけのものが多く、3セル動作が普通です。しかし、電池1本ならともかく、奇数本使用というのは半端で嫌らしいものです。また、電圧の余裕が少ないため、電池の放電初期から末期にかけて光度が大きく変動してしまう欠点もあります。そこで、2セルで白色LEDを定電流駆動するヘッドランプを製作してみました。昔、トラ技に載った回路の改良版です。
資料に示す白色LEDのVF - IF特性から、十分な電流を流すのに必要な順方向電圧は、約3.4Vとなります。したがって、電池電圧で直接点灯するには少なくとも3セル(3.0~4.5V)必要になります。2セル(2.0~3.0V)では直接点灯できず、何らかの昇圧回路が必要になってきます。
で、右の図がLEDヘッドライトの回路です。自励発振型DC-DCコンバータで入力電圧を昇圧して負荷の白色LEDに供給します。LEDは2個直列にしたのを3回路としました。出力電流はフィードバックにより一定に制御されます。フィードバックのかかっているのは1回路だけですが、LEDに同じ物を使うことによりそれぞれの回路にはほぼ同じ値の電流が流れます。また、回路数を変えることにより規模を簡単に増減できます。
出力電圧は約7.5Vになります。出力電圧を高めに設定したのは、それに占める電流検出抵抗のドロップ(0.7V程度)の割合がそのままロスになるので、それが相対的に小さくなるようにするためです。この回路の場合、約65%の効率となりました。単純な回路の割にはまずまずといったところでしょうか。
最近は、携帯機器のLEDバックライト駆動用として専用ICが多く出ているので、それを利用するのも一つの手ですが、2セル動作の終止電圧(2V)まで動作する物はあまり無いようです。
体裁良く手っ取り早く製作するため、手持ちの松下製のヘッドランプを改造しました。何でヘッドランプかって? これは自宅や会社のLAN配線とか電源配線で天井裏に入るのに使用していたものです(^^;。
このヘッドランプは、単三電池4本を直並列という変則な使い方をしています。そこで、直列2本分を外してここに回路を組み込むとちょうど良い具合になります。右の写真が電池収納部に組み込んだ回路です。
LED部は、左の写真に示すように反射鏡を後ろからくり抜いてユニバーサル基板でLEDを6個マウントしています。反射鏡は意味をなしていませんが、LED自体がかなり指向性を持っているので、豆電球ほどは鋭くないものの十分な指向性が得られています。明るさは元の豆電球と同等でずっと低消費電力です。
DC-DCコンバータの要となるトランスですが、これだけは売っていないので自作する必要があります。右の図に示すようなサイズのドラムコアを買ってきて手巻きします。コア単体が入手できないときは、適当なチョークコイル(ノイズフィルタのコアは損失が多いので不可)をバラしてコアだけ使うという手もあります。このトランスの善し悪しが効率に影響してくるので、ある程度のカットアンドトライが必要になるかも知れません。
次に重要なのはトランジスタ(Q1)の特性で、効率に大きく影響します。これには、ストロボDC-DC用トランジスタが適しています。同じのが入手しにくいときは、Icが2A程度で、HFEが大きく、飽和電圧の低いものを選んでください。使い捨てカメラのジャンクからも取れます。