ELM Home Page

Translate this page with Microsoft Translator
2015. 7. 25

小型モノクロLCDの試食


LCD

Aitendoで売られている小型モノクロLCDで、「これは」と思うものがあったので試食してみました。モノはF12864G25412P1701という128x64ドットの半透過型LCDモジュールで、約600円となっていました。

概要

F12864G25412P1701は、半透過型のFSTNパネルで素直な白黒表示となっています。半透過型とは、暗所では背面照光で、明所では高コントラストな反射型として使えるという便利なものです。このLCDモジュールは右の写真に示すように、バックライト ユニットとセットで基板上に実装された状態で販売されているので、誰でも手軽に使うことができます。LCDCチップにCOGのUC1701を使用していて、外付けキャパシタの数が少ないのが特徴です。また、特筆すべき点は、その消費電力の少なさでしょう。消費電流はアクティブ モードにおいて220μA @ 3.0Vでした。CR2032でも1000時間程度動作するということです。このため、フリスク サイズのポータブル ガジェットには、うってつけの表示デバイスといえます。実際にそのような用途に使うときは、小型ローパワーであることを生かすため、バラしてLCDパネル単体で使うことになります。

食す


回路図 | ファームウェア | その他画像

ということで、月並みに何かのゲームでも作ってみようか、と始めてみたもののゲームには少々ドット不足なのとふとした思い付きから、以前から何とかしようと思っていたパスワード管理デバイスなるモノをでっち上げてみました。

右に示した回路図のように、構成はマイコンに操作スイッチ(6接点)とLCDをつないだだけというごく単純なものです。LCDドライバのバイアスは内部で安定化されているので、電源電圧は特に安定化している必要はありません。このため、電源も電池直結としています。

それぞれのアカウントデータ(レコード)は、フラッシュメモリに記録されるようになっています。各レコードは3つの項目(サイト名、ユーザID、パスワード)を保持します。レコードのサイズは128バイト、レコード記録用の領域はフラッシュメモリの約半分を割り当て、最大124レコードを記録できます。一般的な用途には十分といえるでしょう。

操作は電源ボタンと4+1ジョイスティックで行います。新しいレコードの作成はメインメニュー(レコード非選択状態でセンター)からNew Recordを選択することで行います。文字列の入力は、↑↓で文字変更、←→で桁移動、センターで次の項目へ、となっています。それぞれの項目は42文字までです。既存のレコードの編集や削除は、レコード表示状態にセンターでメニューが出ます。何も操作せず90秒経過するか電池電圧が2.5V以下になると自動OFFします。

データバックアップは、メインメニューからBackupを選択することで起動します。データはHEX形式でUARTから9600bpsで出力されるので、これをターミナルで受信してメモリカード等に保存しておきます。データを復帰するときは、プログラムと共にフラッシュメモリに書き込めばOKです。また、最初に大量のレコードをジョイスティックで入力するのは骨が折れるため、最初にバックアップデータを作成しておいてライタ書き込めば楽です。バックアップデータは、1行128バイトのテキストファイル(各行42文字毎にサイト名、ユーザID、パスワード、およびCRLF)として作成しておき、これを0x4000のオフセットを付けたHEX形式に変換することで作成できます。

データセキュリティは、起動時の暗証番号による保護によって実現しています。ただ、十進数ではジョイスティックによる入力が面倒なので、数字の代わりに上下左右の組み合わせ(例えば、↑↓←←→→など)で設定するようにしています。暗証番号を3回連続で間違えたときは、全レコードと暗証番号を消去します。もちろん、マイコンにも読み出し禁止を設定しておかないと保護の意味がありません。

Sign