ユニバーサル ボードに配線するときは、まず電源ラインを最初に配線する場合が多いかと思います(多いというより、それが普通でしょう)。電源ラインは回路の動作の基準となる配線ですので、十分にインピーダンスが低くなるように最優先で配線する必要があります。これを効率よく引き回すのには少々苦労することが多いようです。ここでは、わたしが主にやっている方法を紹介します。
まず、電源ラインの配線に使用する線材ですが、これは錫メッキ線(TA)が使われることが多いようですね。メッキ線の太さはφ0.5~0.6程度がちょうど良いようで、わたしもこれを使用しています。
メッキ線は曲がっていると基板に密着せずに配線しにくいので、使う前にまっすぐにしておく必要があります。しごいたり引っ張ったりいろいろ試していましたが、強く引っ張るという方法が良いようです。両端をしっかり固定して徐々に力を加えて少し塑性変形した点でOK。これでシャーペンの芯のようにまっすぐになります。まっすぐになったら曲がらないように注意して扱いましょう。
メッキ線を基板に半田付けするときは、端から順に固定するようにします。両端を先に付けると、中央部にこてを当てた時に熱膨張で簡単に曲がってしまいます。
実際に電源ラインを引き回す方法はICに沿って格子状に巡らせるというのが普通です。わたしがよくやる方法では、右の図のように GNDライン(青)を格子状にがっちり固めて、Vccライン(赤)を櫛状に巡らせています。黄色い点はパスコンで、その部分は交流的に接続されたのと等価となり、電源ラインのインピーダンスを下げる効果があります。格子が長くなる場合は、更に格子の中間点をそれぞれ渡り線で結ぶとよいでしょう。
右の図をよく見るとGNDラインとVccラインが交差している部分があるのが分かると思います。実は、Vccラインの縦の部分は基板の部品面を走っているのです(GNDラインは全て裏側)。縦線は横線との接続部分で下を走る横線に接続して電源を供給します。しかし、この例ではスルーホール基板を使っているので、たとえ基板の裏表でも交差している部分でショートしてしまいます。この問題はちょっとした工夫で回避できます。
少々見にくいですが、右の図で交差している部分のランドが削られているのが分かるかと思います。φ3.5程度のキリで軽く座繰ってスルーホールをカットしてやるのです。
スルーホール基板は高価ですが、価格に見合った価値はありますので、用途に応じて使い分けると良いでしょう。特に、高密度実装には両面スルーホールが必須です。この基板の例では、アナログ系のCRパーツは、チップ部品を使用して裏側に実装したり、両面をうまく使ったりして実装密度を上げています。
そこまでやらないまでもパスコンだけでもチップ部品を使うと良いと思います。高価なスルーホール基板を利用する場合は、このようにスルーホールを積極的に利用しましょう。そうでないとせっかくのスルーホール基板がもったいないというものです。
あと、写真からPLDが直付けになっているのが分かると思います。基本的にICソケットが嫌いというのもありますが、まぁソケットをケチっているというわけですね(^_^;。実際、EPROM以外はほとんど直付けです。ICのリードが穴に接触しないように半田付けすれば後から外すのも容易ですので、あとで外す可能性のある部品はそのようにしています。